主権者教育
「主権者教育」・・もう少し馴染みやすく、わかりやすい言葉はないだろうか。
政治に参加する方法? 主役は自分であると学ぶこと?
どうしたら若い人たちがもっと政治に興味を持つようになるだろうー
「主権者教育」はかいでん区議が掲げる大きなテーマの一つである。
政治家という職業を知ったのは10才、漫画伝記本「ジョン・F・ケネディ」に感動した。以来、歴史上の指導者の本をひたすら紐解いた歴史好き、国のため多くの人達のために働く政治家を志す。
時が来たら立候補することを告げて入社したコンサルタント会社では、行政のまちづくり計画立案の営業を担当。
そして被選挙権が与えられる25歳になった年に、自身の資金で立候補、見事当選を果たす。
地盤、看板、カバンー選挙で有利とされる三つの「バン」は一切なし、親戚家族にも政治家は1人もいなかった。
学生時代は政治家のインターンを経験。まちづくりコンサル業では、市民意見を取り入れるためのワークショップを多数開催したが年配の参加者ばかりで、この先何十年先も社会を牽引していく自分たち世代が全くいないことにも違和感と危機感を覚えた。
「このままではいけない、と思いました」
最年少区議として活動をはじめ、同じ年頃の人たちからも興味を持って貰えるだろうと期待したが、
同世代からの反応は殆ど得られなかった。
主権者教育というと難しく聞こえてしまうが、若者がこれからの社会を自ら考え、参加していく、そんなプロセスや意見交換の場を広げたい。
今月号のでんでん通信も「若い世代の活躍の場」「若者政策」が一面を占める。

目黒区の財政問題
かいでん区議にお話を伺うことになったきっかけは、2023年にめぐろ区民ジャーナルが開催した 目黒区議選 候補者オンライン討論会に遡る。
目黒区立中学校統合についてのくだりで「プロセスに問題あり」の指摘に、ちゃんと見てくれているなと共感。同じ会派内の意見の違いも右向け右ではなく印象深かった。
昨年2024年の目黒区長選挙では、自身のブログ(活動報告)で「投票先を中立派区議と考えよう」と
各候補者について切り込んだ記事を掲載。読み応えがある一方で、多少重箱の隅をつつく感もあったが、それだけ一つ一つしっかり検証したに違いない姿勢が信頼でき、「白票意味なし」にも大いに頷いた。
そして今年に入り、目黒区民センター一帯の再開発が中止となり、迫りくる財政難についての報告(ブログ)。
少子高齢化が問題視されて久しく、人口減少=「税収の減少」も見通せた筈なのに、まるで最近起きた事件かのような論調で市民負担ばかりが増えてきていないかーという筆者の憂いを共有したい思いもあった。区民センターの旧建て替え計画で言えば、区民の為の施設面積が大幅に減ることやPFI方式への疑問などだ。
今まで直近数年分の財政予想しか出さなかった目黒区は、かいでん区議の訴えもあり、15年間の予測をようやく出したという。
しかし、目黒区で一番古い八雲小学校は1874年開校、1960年鉄筋校舎完成。そこからもすでに60年以上を経過している訳で、小学校の校舎一つとっても長いスパンで建て替え・改修を見通していくべきことがわかる。15年先の予測だけでは心もとない。
今後老朽化していく施設が多いことが、財政悪化予測と直結する訳だが、建て替えや修繕をすれば当然貯金は減る。そして価値の上がった有形資産が手元に残る。
「財政悪化」は貯金がない状態や、収入減を指しているようだが、本来は必要な資金繰りの目処が立っていて、その先の運用計画に無理がなければ問題はないはずだ。
「悪い」とつけるならば、計画性のなさとか、見通しの甘さとか、無駄使いにではないだろうか?
人口の増減や、必要な出費に罪はない。
持続可能な施設・サービスに向けて
かいでん区議はその報告で、目黒区の試算の甘さを指摘する。
区で最も大きい施設である目黒区総合庁舎の建て替えや、今後の人口推移予測による”生産労働人口”の減少も試算に入っていない。
働く世代が少なくなれば、人口は大きく変わらなくとも税収は減っていく。
目黒区から子育て世代の流出が多いとも聞く。
しかしつまりは、ずっと言われている少子高齢化ということなのだろう。
人口の分布が変わってくれば必要な施設・サービスも変わってくる。
「財政状況のひっ迫を理由に区民の生活のために必要なインフラ整備を見送ったり先送りするようなことはあってはならない。無駄な出費をしないことは当然だが、必要に応じて財政支出は大胆に行ってよいし、区の財政で補えない場合は、区債の発行の他にも手段はあるはず。
例えば先に上げたインフラの老朽化対策の問題は目黒区だけではなく他の区や自治体にも共通する問題なので、東京都や国の支援を23区共同で要請するといった行動は考えられないか?」
の問いに「その通りだと思います」。また要請は今までもしてきているという。
学校校舎の建て替えもそうだが、高齢者施設の待機老人、「訪問ヘルパーがいなくなる」在宅介護の今後のあり方も大きな問題だろう。
2024年9月 目黒区議会から国への意見書
建築単価の引き上げを求めたもの
訪問介護の基本報酬引き下げの見直し・介護従事者の処遇改善を求めたもの
決断の時
区民センターの建て替えに関して区は「多角的な視点をもって進める必要があることから、令和7~8年度に実施する目黒区区有施設見直し方針及び計画の改定検討作業と並行して進めることとし、改定後の見直し方針等において事業の一定の方向性を整理したうえで、令和9年度以降の具体化を目指す方向で調整する。」と言っている。
多角的な視点には、施設の維持だけでなく、目黒区財政計画全体の試算が当然入ってくるはずだ。
こういった計画は議決がとられる種のものではなく、区が立案し、議会からも意見をするという。
その策定プロセス、そしてどれだけ区民の意見が反映されるのかも気になるところだ。
どちらにしても、いくつかの予想できるパターンを用意し、途中で修正を繰り返しながら進めていくしかないと思う。
「計画中止を機に、この施設、区民センターに必要?という根本的なところから考えた方がいい。今それをしてくれていると思います。
一つ一つの “機能” の必要性を精査して、施設自体に多機能を持たせ、区の建物の面積は減らしても機能は広げるようにしたい。」
目指す政治
25歳で当選し、2期目の31歳。
主権者教育への意気込みは、政治が変わっていかなければーという強い思いから。
今の目黒区政には、「もっとできるだろ!目黒区」と感じているという。
未だ実現を見ない委員会のライブ配信など、議会改革もなかなか進まない。
最初に区議を目指した時、「政党の支援もなく無理だ、やめた方がいい」という声が圧倒的に多い中、25歳で偉業を遂げた先人たちー 源義経、織田信長、高杉晋作、などを思い、自身を奮い立たせたというエピソードが、なんとも清々しかった。
「今だけでなく、遠い未来のことも考えられる政治家でありたいです。
今後30年間目黒区に住む、若者やこども達のためにも、たとえ今反対の声があろうと、無責任にはなりたくない。」
若い世代の活躍を願いつつも、若さゆえの未熟さに意見したくもなってしまう中年の筆者だが、
思慮深く、配慮を怠らない区議の姿勢に感心した。
将来の目標は「目の前の区議としての仕事を全力でやるのみです」。謙虚にそして確実に経験を積まれていくに違いない。若者・子ども政策が、良い形で発展していくことを見守りながら、かいでん区議の今後の更なる活躍を期待したい。
かいでん区議の活動報告(ブログ)より
〈 ご協力ありがとうございました 〉
インタビュー当日は、めぐろ区民ジャーナルのメンバー3人で伺った。
それぞれの興味軸から、テーマは多岐に及んだが、ここには筆者が元々伺う予定であった内容のみを記事にしている。
自己紹介には、ご自身で簡単なパワポを準備して下さる周到さ。
「身近に気づいたり起こったりする目黒区のこと、いつでもご連絡下さい」
区民の声から、改善につながることは少なくない。
執筆者:佐野みと(めぐろ区民ジャーナル 編集委員)
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