序章
約1年前に目黒区議会のホームページを見たとき以下のように説明があり、社会科の教科書に書いてあるような基本の「キ」そのシンプルさに、確かにそうではあるがと驚きを覚えた。
「私たちの住む目黒区を、私たちの力で明るく住み良い地域社会にするためには、区民一人一人が、自分たちで考え、話し合い、自分たちで決めたことを実行することが大切です。これを地方自治といいます。しかし、私たち区民全員が集まって話し合うことは難しいことです。そこで、私たちの代表として、区議会議員を選びます。」
この後ホームページがリニューアルされたようで、今は項目別に「区議会とは」と説明されている。
目黒区議会 条例 と検索すると、
「目黒区議会委員会条例」の他に、「目黒区政務活動費の交付に関する条例」や「区議会情報公開条例」などが出てくる。
目黒区ではまだ制定されていない「議会基本条例」の必要性についてここで訴えてみたい。
その1 二元代表制になっていますか?
地方自治体は二元代表制である。
区議会は首長と対等の機関として、自治体の運営の基本的な方針を議決、その執行を監視する意味においても、首長との緊張関係を保つ必要がある。
2022年末、令和 4 年第四定例会で、
「目黒区長等の給料等に関する条例及び目黒区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」が、議案 76 条として区長から提出され、一部議員の反対を押して可決。
区長や議員の給料等がアップしているが、当時コロナ禍で市民生活が疲弊する中、なぜ自分たちの給料を上げようと思ったのか、意味がわからない。
目黒区で、本当に二元代表制が機能しているか、甚だ疑問に思う一例だ。
その2 住民の福祉、増進されていますか??
地方自治の本旨は、地方自治法・第一条の二にしっかりと述べられているように
「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うもの」であり、議会はこの「議事機関」として設置されている。
地方公務員(区の職員)区議会議員(特別職の地方公務員)は、地方自治の本旨の実現に役立つことを目的に定められた地方公務員法に準じて任に就く。
その3 住民の福祉とは、「住民のしあわせであり、幸福」
特に(公的扶助による)生活の安定や充足のことである。
人々の幸福で安定した生活を公的に達成すること、ここに尽きる。
怪我や病気になったとしても、老後も、ひとり親になっても、親を亡くしても、「何があっても安心して暮らせる」区。
地価が高いから、家賃が高いから、何かあった時に住み慣れた目黒区を離れなければいけない、などということが起こらない公的なシステムづくりである。
その4 では今の目黒区は??
課題が山積みのようだ。
めぐろ区民ジャーナルが発足してこの方、目黒区の課題を知る機会が増えた。
共通して見えてくることは、現場の声や当事者である区民・人の意見をしっかりと汲み上げ活かす仕組みが、足りていない。
個々の課題についてここで述べることはしないが、例えば住宅セーフティーネット法に抵触するのではないかと思えるようなことも実際に起きており、抜け落ちた「住民の福祉への意識」に唖然とした。
なぜ 議会基本条例が必要か
さて話を戻すが、地方自治体の議事機関(協議する機関)と位置付けられる議会には、しっかりと議論をして貰う必要がある。
議会基本条例は、各自治体ごとに定めらるが「地方自治の本旨に基づく地方議会運営の基本原則を定めた条例」であり、目黒区の「目黒区議会委員会条例」のように開催の枠組みだけを定めたものとは異なる。
その在り方、その理念を定めるものが必要ではないかと切に思うのだ。
議会の憲法
「議会運営の理念」「理念を具体化する制度」「その制度を作動させる原則」等を定め、当該自治体の議会運営に関する最高法規として位置づけられる議会基本条例。
全国では、合計965自治体(54.0%)が、政令市では16の自治体(80.0%)、東京都では16 の自治体(25%)が、これを制定している。【2022年12月25日】
東京都は少し遅れているようですらあり、先進する自治体にぜひ続いて欲しい。
つまり、こんな感じ
区民の幸せを考え、議論し、その実現の為のシステムを構築する。
システムがきちんと作動しているかどうか、確認する。
誰が、どのように、何を基準にチェックするかー 公平性・透明性を保った形をつくる。
誤作動があったり、うまく作動していないところはないか、定期的に検査する。
常にアップデートを図り、より優れたシステムに作り変えていく。
噛み砕いてみると、こんな感じだろうか。
世の中に当たり前にあるシステム・アップデートの流れが、行政には欠けている場合が多いように思うが、目黒区もそれに漏れないだろう。
目黒区・議会基本条例 をつくり、改めて地方自治体の役割は何なのか、みんなで考える時が来ていると思う。