目黒区民なら、一度は行ったことがある? 目黒区民センターの今
目黒川、目黒通り、山の手通りに囲まれた、目黒区民センターと目黒区美術館を含む一帯は、長く区民に愛され てきた美しい空間です。
これら施設と近隣の下目黒小学校の建物を2028年度に解体し、高層化・複合施設化・民間事業者への事業委託化、という計画が進んでいるのをご存じでしょうか。
集まる「待った」〜区民の声
この開発計画を、このまま進めることに反対する署名活動や陳情が行われています。
提起されている点は:
- 区は条例を変えてでも、規制の20メートル以上の高層化を図っている
- 美術館を壊して更地にして敷地面積を増やし
- 土地の一部を業者に70年ほどの定期借地権を与え
- 70メートルの高層マンション等を建設させる計画
であり、
「建て替え余儀なし」は根拠に乏しい、といいます。
美術館でいえば築36年、新耐震であり修繕も済んでいて、インフラの不具合はなく、
例を挙げれば、竹橋の国立近代美術館は、旧耐震であり築70年を過ぎていても、修復されてまだ十分に使われています。
文化財として建築物としても、全国的な建築賞を受賞するほど価値ある建造物であり、 区内のみならず国内外からも取り壊しに反対の声があがっています。
本年(2023年)2月時点で、区民約18名のみが任意で参加した「周辺地区まちづくり準備会」という小会議で経過が説明されているのみ、といいます。
区民の財産である、贅沢な敷地
目黒区民センターの敷地は、区有施設としては非常に広く、公園10,000m²、区民センター9,514m²、美術館2,012m²。
野外プールは幼児用も備え、2面のテニスコート、体育館、屋内プール、ホール、図書館、児童館、学童保育クラブ、社会教育館、勤労福祉会館、という多機能の複合体で構成されています。
この区民の為のゆとりある空間を、ありていの民間事 業化・高層複合施設に置き換えてしまっては、目黒区の文化遺産の損失にはならないでしょうか。
国をあげて の「SDGs」施策〜あるものを活かす〜にも反していると思われます。
あまり知られていない? 美術館の文化的価値
とくに美術館の文化的価値は大きく、主に区民の作品発表の場として活用されている区民ギャラリーと、企画展や3,000点にものぼる収蔵品の展覧会の会場の2部分で構成されています。
その内容の多彩さや企画力は、公共の美術館としては他の美術館を牽引しているとさえ言われています。
藤田嗣治や、木村伊兵衛、ベルナール・ビュッフエなど名だたる作家の作品が区の美術館であるために、800円から1000円の入場料で鑑賞できるのです。
芸術文化振興財団が発行するリーフレット「Art Letter」に開催予定が掲載されます。
建築物としても素晴らしく、ゆとりのあるレイアウト、窓からは木漏れ日が差し込み、作品をゆっくりと堪能できる空間と時間を提供しています。
日本建築学会も取り壊し反対を表明しています。
「民間事業化」も、区内でどんどん推し進められていますが、立ち止まって、今回想定されているPFI方式についても十分考える必要があるのではないでしょうか。
「新たな目黒区民センターの基本計画(素案)」と PFI方式
目黒区がまとめる「新たな目黒区民センターの基本計画(素案)」HPでこの計画についてご覧いただけます。
〜今回想定されているPFI方式目的は本来、
民間の知恵と資金を使って非効率になりがちな公共施設の建設を効率的に進めることにありますが、PFIが建設費用の割高な分割払いにしかなっていないというケースが少なくない、自治体が公共事業として作るより高くなってしまう事例は枚挙に暇がないと報告されています。〜
平成29年の区有施設見直し計画に始まり、今回は最終案確定に至る手前の基本計画素案が提示されています 。
ご意見があれば7月28日期限のパブリックコメント募集へぜひ、提出してください。
執筆者:KOKO(めぐろ区民ジャーナル 編集委員)
7月28日まで区へパブリック・コメントが出せますので、ぜひ、ご意見をお寄せください。
•郵送:〒153-8573 目黒区役所 資産経営課(住所不要)
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