都議会議員選挙2025 候補者ロングインタビュー
たぞえ麻友 氏
プロフィール
無所属
1982年東京都目黒区生まれ。目黒サレジオ幼稚園、目黒星美学園小・中・高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部卒業。在学中、南アフリカで開催されたSDGS(持続可能な開発目標)に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)に参加。専門商社に2年勤続後、ベンチャー系経営コンサルティング会社に8年勤務。
2015年目黒区議会議員選挙当選、現在3期目。
3人の子どものママ。趣味はテニス、映画鑑賞、芸術鑑賞。
公式Webサイト:https://www.mayutazoe.com
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目次
会派について
――たぞえさんは区議初当選の時は無所属でしたがその後都民ファーストの議員として区議を続けてこられました。今回都議選にでるにあたり都民ファーストを離党して無所属で立候補されていますが、どこかの党の応援を受けたり、都議になってからどこの会派に入るとか、そういうプランはありますか?
唯一応援していただいていると公言できるのは、品川区長の森澤さんです。森澤さんが都議時代にいろいろと連携していたことがあるので、今回二連ポスターを作らせてもらっています。党の支援とかは全くないです。
会派については、誰が当選するかわからないので、与党野党の会派も人数によって再編があったりするので、どうなるかわからないですよね。
区議時代は無会派の時代のほうが長いんです。なので都議会でも無会派でもいいし、まぁ、みんなとうまく仲良くやっていきますっていうのが、今のところの想定ですかね。
子育て政策
――たぞえさんは、目黒区議会議員を10年務めてこられましたが、今回都議に挑戦しようと思った理由を聞かせてください。
これまで区議を10年やってきて、特に力を入れてきたのが子育て支援と介護の充実、そして意外と知られてないかもしれませんが、DX(デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル技術で業務を効率化すること。)や広報の改善をやってました。行政の手続きを簡単にするとか、行政のことを知ってもらうとか。政策を実現して、知ってもらって、使ってもらって、また改善するというサイクルを10年やってきたんですけど、それでもできない部分というのがあって。
例えば、保育園のことで保護者の方から相談があって改善を求めようとしても、それが認可外保育園だと管轄が東京都なんですね。目黒区には指導権限がないので(認可保育園は目黒区の管轄)、東京都に対応をお願いしても(認可外保育園の数が多くて)巡回指導が1年で回りきらないんですよ。都がやりきれないんだったら区に管轄をおろしてくれればいいんだけど、そんなふうに役割の違いで区議が提言しても動かないことってあるんですよ。
目黒区のトピックで大きいのが、児童相談所が今度目黒区にできますけど、(区立ではなく)都の児相なんですよ。児童虐待防止のことを超党派を組んで小池知事に提言に行ったりしてるんですが、東京都にしてみれば目黒にできる児童相談所は行政の一施設に過ぎないんですよ。目黒には目黒の特性があるから、そういうことを都に進言していきたいので、目黒の子育てと介護のテーマで区議ではできないことを都議としてやっていきたいということです。
――児童相談所の管轄のことはあまり知られてないと思うのですが、基本的に児童相談所は都道府県と政令指定都市に設置義務があって、2016年の児童福祉法改正で東京都の特別区23区も設置できるようになりました。世田谷区や江戸川区などが区立児相の設置をはじめ、今では10区で区立児相の設置が進んでいます。目黒区では2030年に区内に児童相談所の設置を計画していますが、これは都立児相を誘致する形で、目黒区にあるけれど、児相の運営・管轄は東京都になるということですね。23区は人口規模が大きくても政令指定都市になれない特別区というヘンテコな仕組みで、行政の管轄権の多くが東京都にあるという形になっていますね。
そうなんですよ。区議として身近な行政の仕事をいっぱい見てきたんですけど、その制度の大元は東京都にあって、東京都の計画が変わると目黒区の計画も改定していくので、東京都が新しい計画を作る時に目黒区の特性をふまえて提言していかないといけないんです。
パブリックコメントってあるでしょ。でもパブコメやってる段階では実はもう計画のほとんどが決まってるわけですよ。だから大元の計画を作るところに入り込みたいんです。
目黒区の予算や税収のことで、もっと大企業を誘致したらという意見をもらうこともあるんですが、そもそも特別区の法人住民税って目黒区に入ってこないんですよ。それは東京都の財政にはいるものだから、私は目黒区の課題解決に東京都の予算からちゃんとお金を下ろしたいと思っているので。もちろん都議として東京都全体のことを考えていかなきゃっていうのはわかっているんですが、やっぱりベースに目黒区のことがあります。
都議になる人のバックグラウンドはいろいろありますけど、23区と市と東京都の役割の違いとバランスを理解している基礎自治体上がりの人材がやっぱり必要だなって思うんですよね。
――これまで取り組まれてきた子育てと介護のことで、都議になったらこれができる!という具体策はありますか?
えーっと、例えば、今目黒区でもベビーシッター補助が活用されてるんですけど、この予算は単年度なんで毎年毎年継続するかヒヤヒヤするんです。使い勝手のこともいろいろご意見いただいていて、例えば子ども2人いたらベビーシッターも2人雇わないといけないとか、キャンセル代が結構かかるとか。いろいろ改善したいと思っても、これは都の制度なので、区に言っても変えられないんですよ。私はこの制度はニーズがすごいあるから目黒区でもやってほしいと強く訴えてきて、この事業を保育課に受け持ってもらったんですけど、実際はあまりにも事務処理の件数が多いから結構費用使って事務作業をアウトソーシングしてるんですよ。でもね、この制度は都が始めたんだから、(運用まで)都が責任持ってやってくれよと思ってるんです。
018サポートで初めて東京都が直接都民に子育て支援をするっていうのやったので、それができるんだったら他もやってほしい。もうね、区では事務手続きがこれ以上増えたら無理なんですよ。
本来、区の職員が子育てサークルとか地域の活動を実際に見に行って、現場を見てサポートしてほしいんですけど、国や都から事務仕事が降ってきてそっちに追われているのが現状なので、区の事務負担をもっと軽くすれば、地域の子育て支援にもっと人的なリソースを回せると思うんです。018サポートはありがたい制度ではありますが、なんかこう、お金で買えないというか、支援の質の部分を考えていきたいです。
介護ついて
――もう一つのテーマ、介護についてはどのような取り組みを考えていますか?
今、目黒区の特養老人ホームの待機が500人っていう数字が広まっている気がするんですけど、現場の方にお話を伺った時に、実際は医療介入が必要な方は特養だと対応できないから入所できなくて待っている方が多いっていうのを聞いたんです。元気になったら入れるっていうことでずっと待機状態。医療介入が必要な方は入れなくて、待機リストに名前があっても元気なんでまだ入らないですっていう方もいて、空きがでちゃうので他区にお声がけしますっていうことが起こっている。待機児童の問題もそうなんですけど、国の基準と不承諾を受けた人の人数にギャップがあるんですよね。
緊急度が高いかどうかと待機人数はまた別の問題なので、本当に必要としている人が入所できるようにするには介護医療院をつくる必要があるんです。目黒には介護医療院は一つしかなくて、東京都も介護医療院の補助を始めたんですけど、補助額がこれでは少ないんじゃないかと思うんで。
世論調査の数字だったかな。6〜7割の人が人生の最期を自宅で過ごしたいとおっしゃってるんですよ。私も母を自宅で看取ったんですが、訪問介護・訪問看護の方にすごくお世話になったんです。でも訪問医療に対する国の報酬が低いんですよ。国がやらないんだったら自治体が支援すべきですよね。
――子育ても介護も、本当に大変な辛さを抱えている現場の声っていうのは、なかなか行政には届かないですよね。行政になにかしてほしいと思っても、一般の人にはそれが区の事業なのか都の事業なのかわからなくて、何もしてもらえないような状態になっちゃうわけですよね。
私は区議として介護の相談窓口を拡充してきたつもりなんですけど、サービスはいろいろるんですが、それでもやっぱり隙間があるというか国にも都にもない事業っていうのがあるんです。隙間を埋めるような支援事業があっても、内容が物足りないとか自己負担が高くて結局使われてないとかがあって、結局は地域活動に支えられてますっていうのが実態としてありますよね。
行政支援を作る側と使う側の間には大きな隔たりがあると思っています。私の特性として、そういう穴をみつけて、見つけた穴を塞いでいくっていうのを区議としてずっとやってきたんです。行政だって別に悪い仕組みを最初からつくろうと思っているわけはなくて、私たち(議員)が使う人との間に入って、ここが悪いらしいよって言ったらわかりましたって改善してくれるんですよ。
その他の政策
――その他の政策についてはいかがでしょうか。
物価高対策や教育改革、安全のテーマで防犯と防災も大きなテーマですね。
消防や警察は東京都の管轄になるので、東京都は防災計画の大元を作ってるんですが、実際の現場をもっと見にきてほしいというのは区議のときから思っていて。意外と災害時対応の時に都が登場してこないんですよ。都は公園や都立高校をもってるでしょう?区だけの対応だと小学校中学校の体育館だと避難所にしても40世帯ずつくらいしか入れないですよね。いざという時に都の施設をどうやって開けてくれるの?っていうのがわからなかったり、連携がうまく取れてないんですよ。
例えば、木密地域の対策で東京都が感震ブレーカーを配るっていうのがあって、同時期に目黒区でも感震ブレーカーを配ってたんですよ。似たようなことを同時にやっていて二重行政をやめてほしいと思いますよね。
聞き手&写真:植田泰(めぐろ区民ジャーナル編集委員)
外遊びフェス「ビオキッズ」実行委員長、映画「あそびのレンズ」プロデューサー、めぐろ子ども子育て連絡会 会員、めぐろあそびばねっと メンバー、そとあそびプロジェクト・せたがや 理事、一般社団法人 日本プレイワーク協会 理事 ほか。
2013年より世田谷区の羽根木公園で外遊びをテーマにした野外フェス「ビオキッズ」を主催。世田谷における民間発の外遊び啓発事業として成果をあげる。 めぐろ子ども子育て連絡会や、めぐろあそびばねっと など、目黒区内で子ども・子育て支援の活動を続ける。 本職はグラフィックデザイナー。