ジェンダー平等に向け区議会が出した意見書とは?

 目黒区議会が、ジェンダー平等に向け重要な一歩をしるしたのは、2022年6月30日のことだ。「女性差別撤廃条約の選択議定書の批准に向け速やかに進める意見書」を全会一致で決議し、内閣総理大臣 衆議院議長 参議院議長 法務大臣に宛てて提出した。現在、意見書を出している地方議会は188議会で(22年12月現在)東京23区ではわずか5区。目黒区には抱える問題が多々ある中だが、ジェンダー平等推進にとって、区議会の意見書提出は、何はともあれ快挙である。
 この意見書提出には、区民の女性たちと女性区議会議員の鮮やかな連係プレイがあった。

選択議定書はジェンダー平等推進のカギ

 目黒区のNGO「めぐろジェンダー平等の会」の共同代表中島みち子さんは「ジェンダー平等にとって、今、喫緊の課題は選択議定書の批准です」という。
 1979年国連総会で採択された女性差別撤廃条約は、1985年日本でも批准された。しかしその後も、男女の固定的役割分担、男女の賃金格差、性暴力など女性差別はまん延しており、条約の実効性を高めるため、国連は1999年に「選択議定書」を採択した。
 議定書は、①「個人通報制度」女性差別撤廃条約で保障されている権利が侵害された時、女性差別撤廃委員会に通報し、救済を申し立てることが出来る制度と、②「調査制度」女性差別撤廃委員会が当該国の協力の下で調査し、国に調査結果を意見・勧告をする制度をもつ。差別を抑制する効果があり、ジェンダー平等推進のカギとなるものだ。締約国は115か国に及ぶが、日本政府は「司法権の独立を侵す可能性がある」との見解で、いまだ批准されていない。
 「めぐろジェンダー平等の会」では、批准に向け区議会の意見書提出のロビー活動を活発に行い、党派を超えた多くの議員の賛同を集めた。区議会決議を成功させるために議員提案を考えた中島さんらは頼むなら、A女性議員(自民党)と考えた。

女性議員に聞くー意見書提出全会一致の決議まで

 A議員は、2022年春、ロビー活動をしている中島さんらから「いま、議定書の批准運動をやっている。政府への意見書提出に力を貸してくれませんか」と声をかけられた。政府も国会答弁で「早期締結に向け真剣に検討(2020年12月)」と答えている。「やれるならやってみよう」とA議員は動く。まず自民党東京都連に聞いてみたところ「ダメ出しはされなかった」。さらに目黒区議会の自民党会派でも賛成が得られた。「それから自民党目黒区議団から意見書案を提出し議会運営委員会にかけると全会派賛成。最後に本会議でも全会一致で決議されたんです」。見事にスムーズな展開である。
 区議会は保守的な議員もいる中、山あり谷ありの困難を乗り越えた話を聞きたくて「ジェンダーの問題に一波乱はなかったのですか?」と質問を投げかけたが「それが、なかったんですよね。みんな賛成してくれたので」。そんなにこれまで全ての目黒区議がジェンダー問題に理解があったかしら?とちょっと不思議な気もするが、時代の流れもあるのだろう、ともあれ成功した話なのだから大歓迎である。
 A議員は「何事も、山の上り方は地道にやらなければ」と。これまで粘り強く地道にジェンダー平等の活動を重ねてきた目黒の女性たちと、議会できちんと手順を踏んで進めたA女性議員との連携の勝利である。

「検討」24年、議定書批准にもう一押し

 さて我が国はジェンダーギャップ指数(2022年)116位のお国柄、これからが問題である。国はこの24年間、議定書批准を「検討」したまま、一ミリも動いていない。目黒区議会にとって、国への意見書提出は一里塚に過ぎず、これで落ち着いてもらっては困るのだ。日本の議定書批准という目的を実現させるために、今後も地元国会議員に働きかけるなど国政に向けやれることをやってもらいたい。
 今、日本の66の女性団体が連帯し「女性差別撤廃条約実現アクション」として議定書批准に向け集会や署名など様々な活動に取り組んでいる。特にG7に向けては先進国最下位の不名誉を岸田総理のリーダーシップで解消して欲しいものだ。
 目黒区でも議員たちの更なる行動を期待したい。

執筆者:竹内 みどり

「ふぇみん婦人民主クラブ」元編集員。女性差別問題、子育て、教育などを中心に取材をする。元中学校教師。退職後、不登校の子どものための私立中学「東京シューレ葛飾中学校」の立ち上げに関わる。1996年よりベトナムの養護施設「希望の村」の支援活動に関わり、現在もベトナムの子どもたちの支援活動を続ける。